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shiranegakudo

流行りの「多様性」について考えてみる④

 一旦ここで、進化心理学の観点から、なぜ私たちが差別をしてしまうのか考えていきます。私たちの祖先が狩猟採集だった頃、私たちが生きる上で重要な様子だったのが、自分以外の人間と上手に関わることでした。

 これはどういうことかと言うと、今も昔も僕たちは1人ではすべてのことを成すことができません。食べ物を作り、道路を作り、精密機械を作り、今自分が利用しているすべてのものを1人の力で何とかできないのです。

 狩猟採集時代の私たちも同じく、小さな集団を作って暮らしていました。この小さな集団を作って暮らすことのメリットと言うのは、獲物を狩る人、果物や木の実を採取する人、子供を育てる人、料理をする人というように分業することです。その他にも、狩猟採集の時代には人間にとって大きな危険をもたらすサーベルタイガーのような動物がいました。そのような危険な動物から身を守るためには人は群れを出す必要があったのです。


 そして、同じ地域にいくつかの集団が出来上がるようになると、新たなリスクが発生するようになります。それは現代と同じで資源をめぐっての争いです。1つの地域に抱えられる人間の数と言うのは限りがあります。人間の数が増えすぎてしまえば食べ物などのリソースは枯渇してしまいます。結果として狩猟採集の時代の人々たちは、生きるために他の集団の人々を殺していたのである。

 このような時代だったので、その時代の人々たちは道徳心や宗教などを使って集団の結束力を強めようとしていました。また、同じ集団の成員だとわかるようになるようなファッションや行動を取るようになっていたのです。


 つまり私たちは、「違う見た目や振る舞いをする人たち」=「敵」とみなすようになったのです。私たちはこの時代を経て、自分とは違う多様なものを嫌う心理的な傾向が生まれたのです。

 私たちにはそもそもこういった性質、弱みがあることを認識することが、現代の対立などを含めた問題を解決する上で非常に重要となるのでしょう。

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